アライメントについて
ご存知ですか? 足元決まれば、走りも変わる!
まず、はじめに…
サスペンション(足廻りともいいます)の話によくでてくるアライメント、正式にはホイールアライメントといって、簡単にいうと四輪のタイヤの向きのことです。タイヤって進行方向に向かって真っすぐだと思っている人もいるかもしれませんが、少しずつ角度がついているんです。それらの調整を行うことを”アライメントをとる”と言っています。
また、このアライメントというのは走る性能(サスペンションの特性)をどう生かすかにかかってきます。車のサスペンションは、バネの硬さ・ショックの伸び縮みの強さ・車高(前後の重量配分)・アライメントなどの要素で構成されていて、走るにはもう一つタイヤも忘れてはいけません。
この”アライメントをとる”ということは、性能をトータルで見るということになるわけです。ですから、サスKITの選び方やその後のトータルでのサスペンションのセットアップに関して、よく考えてみた方がいいと思います。サスKITの取付けや、一般的にアライメントといっても基準値に合わせているだけの場合が多く、タイヤ・その使用ステージなどに合わせた”味付け”的な部分は殆どないのが現状です。
一般的な車高とアライメント変化の関係
通常、車高を下げるとアライメントはキャンバー(※1)がネガティブ方向へ、トーイン(※2)がアウト方向になっていきます。本来車輌は設計されている時点で、コーナーリング中に車輌が傾き、アライメント変化を起こすことを計算されて設計されています。
ここで一つ、トーインは極端なアウト方向への変化が起こるとサスペンションのメカニカルグリップが下がる方向にあります。ですが、コーナーリング中にはステアリングを切っている状態であることも忘れてはいけません。
サスペンションを交換すると、ほとんどは30〜40mm車高が下がります。この状態を純正車高から考えれば、かなりロールしたような状況ですので車輌が止まっている状態であってもアライメントがくるった状態ということになります。
BORDERには、大きなアライメントテスターはありません。以前から使用しているフォーミュラカーなどに使用していた計測器と、床面を加工したアライメント用の平らな面でアライメントをとっています。これは、一般の車(ラジアルタイヤ装着車と、サスペンションアーム類にゴムブッシュを使っている車)では、車を前進で止めるのと後退で止めるのではアライメントが違うからです。いつも同じ条件をメカニックの手で作り出し安定した作業を行ないます。タイヤのヨレやブッシュ(※3)のネジレなどが、進行方向で逆に力を受ける為です。
BORDERでの車高調整(※4)は下廻りのアーム取付部分と床面で、車高の計測をします。よくフェンダーアーチでとっている場合がありますが、あくまでも目安としかならず、ボディーの構成部分で計測するのが本来の方法です。フェンダーなどはボディーに後で取付けするパーツですので、ミリ単位の計測には適さないはずです。フェンダーは取付方法によっては5mm程度は調整できますし、タイヤに干渉して曲がっている場合も多く見られます。
BORDERでは、修正作業以外に発生原因を伝えたりすることも作業の一貫として行なっています。調整作業後の試乗で真っすぐ走るのか、ブレーキングでの挙動は正常か、などを点検しています。(ブレーキを踏んだら、右か左に曲がってしまう場合など) これらの他にも車高設定が悪くスタビライザーが直進走行時にも作用している車輌や、前輪と後輪の向きが車輌中心から大きくずれている場合などもあり、オーナーは正常な状態が把握できていない場合も多く見られます。
- ※1 キャンバー…
- タイヤと地面の角度のことです。タイヤ上部が車輌側に倒れている場合が「キャンバーがついている」と言っている(専門用語ではネガティブキャンバーといいます)状態です。通常は1〜2°位です。フロント/リア。
- ※2 トーイン…
- 車輌を上部から見た時のフロント/リア、それぞれのタイヤの前進方向への角度をいいます。通常は内側に向かいます。(イン1〜5mm位)。車高が下がるとアウト方向へ広がります。
- ※3 ブッシュ…
- 車のサスペンションの動く部分には殆ど、この「ブッシュ」と呼ばれるゴムのジョイントが使われています。強化タイプやピロボールタイプなどが、補修用として売られています。
- ※4 車高調整…
- 一般的に略して「シャコチョー」といっています。バネの下側の皿がネジ式で上下に調整できるため、サスペンション取付後にも車高の上げ下げができます。